ソニーが昔のような世界のエレクトリカル、エレクトロニクス業界を牽引することは、もうないように思う。
ソニーがあれだけの大企業となったのは、自社で市場を作ることができたことが大きい。
今で言うとアップルに相当するだろうが、その当時は市場にない商品や、既存のものに全く新しい特別な付加価値を持たせた商品を世に送り出し、競争相手がいなかったり圧倒できる市場を作れたからこそ、大きな収益を手にすることができた。ウォークマンはその最も典型的な例だろう。
ソニーがそういう要素を失っていったのは、そう昔のことでもない。
少なくとも、PlayStationは、それまでの任天堂的なファミリー向け家庭用ゲーム機が主流だった時代を、個人向け・マニア向け市場の可能性拡大に大きく転換したと思う。しかし、それ以降はVAIOシリーズで得意の小型化やデザインオリエンテッドな商品で特色を出しはしたものの、徐々に競合他社と大同小異の開発力しか持たなくなっていっている。
これはせいぜい、ニッチ的なニーズに焦点を当ててスマッシュヒットを得ているカシオと同程度の商品開発力で、世界をリードするというよりは、メインストリームからこぼれた層を拾っているにすぎない。
そして、ここ数年の赤字決算で、その市場へのチャレンジ力はますます低下している。
大きな投資をして冒険をするだけの余力がなくなっているので、PlayStationのような商品でも、今だったら発売に至れないだろう。
カメラ事業や電子デバイス事業など、得意分野への選択と集中を進めつつある、いまの再建体制では、黒字化と企業規模の維持は可能だろうが、世界トップへの復帰とブランド力の回復はまず無理だろう。
もちろん、こういう地力の回復を待って、乾坤一擲の勝負に出ることも可能なので、先のことはどうなるかわからない。
しかし現状で、ソニーにジャパニーズ・ドリームを期待できた時代は、もう終わったのだろうということが、日本の産業の低迷を象徴している感がある。