コルニリアは、チンクエテッレでは唯一海に面していず、チンクエテッレの街道沿いに山の中にできた町だが、駅は山の下にあるため、町に行くには300段以上の階段を登らないといけない。
すでにヴェルナッツァの登り下りで相当体力を消耗した身にはつらかったが、これを登る。もっともここは、最初から駅に向かう階段として広くきちんと整備されているので、登りやすいので、見た目ほどには大変じゃなかった。登ってからの景色も良かった。
コルニリアの町はほんとに小さいが、チンクエテッレの中央なので、日帰りでチンクエテッレを巡る人には中間地点ということもあり、レストランがけっこうな賑わいで、少ししかない商店も、ずいぶん混雑していた。
ここでもまたジェラートを食べ、登ったところをまた降りて、列車で次のマナローラへ向かう。
マナローラもまた、場所のないところに駅を作ったので、駅と町の間に一山あり、列車を降りると長いトンネルを通って町へ行く。
チンクエテッレはどこも、海岸沿いの山の傾斜に無理に作ったような港町なので、町に広がりがないのだが、このマナローラは特に両側に山が切り立った深い谷に作られてるので、メインストリートのすぐ両側がもう急斜面といういかにもチンクエテッレらしい景観。そこを通って港まで出ると、少しは開けていて、例によって西側の岬から東側を見ると、きれいに町が見えるようになっている。
ここで、各町へ行く船が再開されていないか見たのだが、全くそんな気配もないので、そのまま最後の町リオマッジョーレへ移動することにした。
チンクエテッレを移動する列車は、ジェノヴァ方面とピサやフィレンツェ方面を結んでいるので、そこそこ編成は大きく、駅のホームも長い。しかしマナローラの町はすでに書いたように、駅の西のほうに離れているので、改札や駅舎も西に寄って作られている。
ホームで列車を待つときも、西のほうは混んでいるので、東へ多少進んだところで待っていたのだが、それでも大した距離を進んだわけではなかったらしく、後ろから2両目くらいに乗った。
ところが、走り出したと思ったらすぐトンネルの中で止まったので、もう駅?と思ったが、何も駅らしいものは見えない上に、いまにも降りそうだった人たちも降りる気配がないので、単に信号か何かで止まっただけらしいと思っていたら、なんと発車してしばらくすると、リオマッジョーレの表示が見えた。後ろのほうはトンネルの中で、駅のホームもずいぶん低いところにあるので、駅らしく見えなかっただけらしい。
仕方ないので、そのまま次の駅ラ・スペツィアまで乗って、また折り返すことにしたのだが、そのまま反対の列車に乗ってて検札に引っかかったら面倒と思って、また切符を買ったので、余計なお金がかかってしまった。しかも、実際リオマッジョーレまで乗ってるところで検札の人が来たのだが、歩いてうろうろするだけで、切符なんかチェックしやしないので、無駄な出費に終わった。
リオマッジョーレも、駅から町まで少し歩かないといけないのだが、この町は港の部分が狭いので、あまり見ごたえがなかった。町自体は、山側に広がっているようで、登ればそれなりの景観が期待できたのかもしれないが、これまでけっこう登り下りした上に、電車のミスもあったりしてグッタリしていたので、夕方になって船が少なくなっても困るので、その先は行かずに、船に乗るためにモンテロッソまで戻ることにした。
列車はもう慣れたもので、そのまま来た道をモンテロッソまで戻るだけ。
船はポルトヴェネレまで行くのだが、実はポルトヴェネレはチンクエテッレの南につきだした岬のようなところにある町で、列車のほうはその岬のほうへは行かず、途中で曲がってリオマッジョーレの先はラ・スペツィアに行っている。ジェノヴァへ帰ろうと思うと、列車に乗らないといけないので、ラ・スペツィアに出ることは必須なので、ポルトヴェネレからまた船でラ・スペツィアへ出ないといけない。
船の時刻表を見ると、ポルトヴェネレもラ・スペツィアも同じ時刻表の中に乗っているので、これはラ・スペツィアまでの切符を買うのが正解じゃないだろうかと思って、切符売りの人に聞いてみたら、通しで買えるということだったので、ラ・スペツィアまで買った。
しかしなんと、見てる前で船が行ってしまう。
あーあと思って次の船に乗る場所へ行こうと思ったら、船とぜんぜん関係のないところで、大勢待っている。これが列なのかと思ったが、念のため列の先頭付近にいた船会社の人っぽい人に聞いたら、あっちだと、やはり船着き場に近いところを指さすので、そこを離れて、ふ頭のようなところへ行った。
船が来て、お客を下ろしはじめたので、これだこれだと思って待っていると、もう一隻やってくる。え?と思ってると、そのもう一隻のほうに乗れと言う。どうも来た船は次の船らしい。
わりと最初のほうに乗ったので、暑いかもしれないと思いつつ、眺めの良さそうな二階席に座った。そのあと、乗る場所と全然違う場所で列をなしていた人たちもやってきて乗船したので、満員に近くなったのだが、どうもその人たちは大集団のツアーのようで、しかも添乗員の人は一人しかおらず、どうやって人を把握してるのか不思議だったのだが、その人たちも同じようにポルトヴェネレで乗りかえていて、一人や二人はぐれてるんじゃないかと今でも思う。
船は二階は確かに陽が射すのだが、海の上を猛スピードで走るので風も強く、そんなに暑くはなかった。
ずいぶん揺れるのだが、30分ほどなので、船酔いもなく楽しかった。ポルトヴェネレまで直行便なので、チンクエテッレの町にはそんなに近づいてくれないのだが、あれがどこだこれがあっちだと、みんなしてわーわー言いながら乗っていた。
そして、ポルトヴェネレで乗り換え。すぐ隣の船なのだが、なにか案内が出てるわけでもなく、しかもポルトヴェネレ自体はわりと大きい町なのだが、おそらくバスか船で移動するしかないところらしく、船がいっぱいいて、ずいぶん港は混雑している。
相方がどの船か聞いてくれたので、混乱なく乗り換えられたが、そうでもないと右往左往していたと思う。
そしてポルトヴェネレもそこそこ素敵そうな町で、ここで泊っても良かったかもという雰囲気。
ポルトヴェネレからラ・スペツィアまではすぐなので、キョロキョロしてるうちにすぐ到着。
ラ・スペツィアはジェノヴァほどではないものの、けっこうな都市。夕方の5時頃で、中央駅まで行く途中が繁華街なので、適当にどこかで何か食べて、それが終わった段階でちょうど良さそうな切符を買って、帰るということにした。
食べるところは、昨日Googleマップで探したIl Genoveseがなかなか良かったので、今日もGoogleマップで探しましょうということで、最初に行った店は、なんか閉まってるっぽい…。Googleマップの情報も、よく見ると今日は定休になっていた。
そこでもう一軒候補として探し出したのが、「Minestrone da Tiffany La Spezia」。近くまで行ってみると、より繁華街に近づくので、道に出ているテーブルに座っている人も多く、にぎやかな雰囲気。
しかし肝心の目的の店は、同じように歩道にテーブルは並べているもののなんとなく寂しい雰囲気で、店構えも薄暗く、あんまり清潔そうでもない雰囲気。えー、どうしよう、と思ったが、別にほかにあてがあるわけでもなく、これも旅の思い出と思って、入ってみた。
というか、入ろうとしたら、入り口付近のテーブルで座ってしゃべってた人が「いらっしゃい」的な感じで立ち上がってきてビックリ。その人が店のご主人だった。
メニューをもらって注文を考えてる間も、注文して作ってる間も、どうも娘さんか何からしき人とずっと口げんかをしている。途中でその女性が出て行ったので、やっとけんかも終わったが、なんかもう怪しい雰囲気しかしない。これは失敗だったかなぁと思うが、とにかく食べて出るだけだからと思ってたら、店の売り物であろうミネストローネが出てきた。
注文するとき、二人一皿だと少ないか聞いたら、足りないよと言うので、一人一皿づつ頼んだのだが、実際に出てきたのはけっこうな量。
なんだよ多いじゃん、と思って食べはじめてびっくり。これが思いのほかのおいしさ。いかにも手作りという感じに、野菜をあれこれ煮詰めたスープに、さらに野菜を入れたようなもので、日本でよく出されるミネストローネとはけっこう違うのだが、やさしい味でおいしい。えーなにこれ!おいしいねぇ!と言って、二人で喜んで食べたので、けっこうな大きさのスープボウルだったが、すぐに食べ終わってしまった。
二皿目のパスタも、見た目はぐちゃっとしてるので、一皿目を食べてなかったら、うわーと思ったかもしれないが、素直に食べてみると、これまた香辛料的な味を抑えた素朴な味でおいしい。量もけっこう多く、パンも出てくるし、価格的にも、たとえまずかったとしても我慢できる料金なので、なおさら素晴らしいとしか思えない。大満足のお店だった。
お会計をお願いしたら、費用にコペルトが含まれていなかったので、サービス料と思って少し上乗せして払ったら、ご主人がすごくうれしそうにしてくれて、こちらもうれしかった。
無事に晩ご飯も食べられたので、駅へ向かう。駅がまた坂道の上にあったりして、疲れてるのに何なんだと思う。
駅前で車通りも多いのに、信号がないところがあったりして、おっかなびっくり渡ったりしたけど、けっこう車のほうで待ってくれるのは、昨日のジェノヴァでも気づいてはいた。運転が荒っぽいし、路駐も多いわりに、歩行者の動きはしっかり見てるらしい。
駅で切符を買ったのだが、都合のいい列車は1時間ほど先。駅にもカフェはあったものの、なんだかシステムがよく分からない(たぶんコンビニにイートインがついてるようなもの)。そしてあんまりゆっくりしなさそうな雰囲気。だったので、また坂道を下りて、普通のカフェ風のお店に入った。
あとで駅に入ってみると、もっと奥にきちんとしたカフェがあったのだが。
そこのカフェは、場所はいいのだが、わざわざ渡らないといけないところにあるので、いまいち不便なせいか、あんまり混んでいなかった。飼いたてなのか、お互い気心が通じてなさそうな、店主と子犬を見てなごんだりしながら、夕方にぼーっとカフェで座ってるのは、それはそれでいい感じだった。
ところで、ジェノヴァからチンクエテッレに行く列車は、切符を事前にネットで買っていたので、席も指定して万全だったのだが、今回は駅の自動販売機で買ったので、席も指定できず、1等ということしかわからない。
自動販売機は、例のなかなか買えないやつで、情報量も機能もそこそこなのに、なぜか席指定はできないのだ。
でも席番号は続いてるし、おそらくそんなにおかしくないところを2席とってくれてるんだろうと思って、遅れること10分ほどでやってきた列車に乗ってみたら、ほかにいくらでも空いてる席はあるのに、なぜか4人席のうちすでに一人座っているところの、向かい合わせの席。すでに座ってる老婦人は、こんな時間のこんな列車だからと油断してるのか、隣席にいろいろ広げてるので、それを片づけてもらうのも申し訳なく、ぼくらは隣同士で座ることにした。
いざ発車してみても、ぼくらのほかは鉄道会社の人が移動のためか何人か乗ってるくらいで、空席が多かった。検札が来たあとで、席を移動すればよかったのかもしれないが、そのときはすぐそうと思いつかず(疲れてた)、そのままなんとなく老婦人と顔を見合わせながら、ジェノヴァまで帰ってきた。老婦人のほうは、同じジェノヴァでも、プリンチペ駅まで乗るらしかった。
帰ってきたら、ブリニョーレ駅はきれいだし、明日はもうジェノヴァとはお別れなので、名残惜しくて、駅の写真を撮ったりしてホテルに戻った。