蓮舫氏の都知事選敗北

2024年の都知事選では、小池都知事の三選となり、立憲民主党を離党して立候補した蓮舫氏は130万票弱を集めて3位となった。
この蓮舫氏の3位となった理由としては、過去にも書いている立憲民主党の票の読めなさが、結局は今回も影響しているように思う。

まず東京都において過去の参院東京都選挙区のデータから見て、蓮舫氏を推薦していた立憲民主党が60万票、共産党も60万票程度を基礎票に近い票として持っていると見なすことができると思う。
これに対して、東京都知事選挙では当選者は概ね200万票~300万票程度を集票し、100万票台では2位となっていることが多い。立憲民主党と共産党の票だけでは当選できないので、ここにどれだけ風を起こして無党派層の票を呼び集めるかということが勝敗の分かれ目となる。

しかしここ数回の参院東京都選挙区の結果を見ると、蓮舫氏が立候補している回は民主系は蓮舫氏+1名当選、蓮舫氏が立候補しない回(参院は3年ごとに半数が改選されるため)は民主系は1名当選(あるいは当選なし)となっている。蓮舫氏は自分の当選する分の票は党の支持層に依らずに自分で稼いでいることになり、しかも2010年の選挙では170万票を集めている。
そうすると、蓮舫ブームとでもいうようなものが起こった場合には、基礎票120万票に加えて170万票の合計290万票が集まる可能性があるわけで、こうなるとまったく勝算のない戦いというわけでもなく、要するに風を起こすことができるかどうか次第ということになる。

ところがこの風を起こすためにとった蓮舫陣営の戦略が何ともおかしなものだった。
一つはXなどを中心とする仮想蓮舫ブーム作戦。Xで「#蓮舫流行ってる」というタグをつけたり、街頭演説会の大群衆の写真を載せて「歴史が変わる瞬間かも」などとポストしたりしていた。正直、蓮舫支持者でない人から見たら、単なる自己満足にしか見えずなんの効果があるのか疑問。おそらく、風が起こりつつあるという雰囲気を起こして浮動票を集めようとしたのだろうが、Xはそもそもそれぞれが見たいポストだけが表示されがちな仕様なので、これを見ない人はほとんど見ないし、たまに見る人は都知事選に興味のある人なので他の情報も見るだろうし、蓮舫支持者はこればかり見るので勘違いするしと、風を起こすどころか風の雰囲気も感じさせることはできてなかった。
さらに支持者らの一人街宣という謎の托鉢的行動。これも、こんなに意思表示をする人があちこちにいるという雰囲気醸成のつもりだったのだろうが、気持ち悪い宗教じみた人たちがいるという程度の印象で、ブームを起こすどころか人を遠ざける効果さえ持ってたように感じた。

もう一つがキーになる政策がなかったこと。
郵政選挙や消えた年金問題を見るまでもなく、風が起こった選挙では必ず風を起こすようなイシューがあり、有権者のそのイシューへの関心が風となって特定の候補や政党に吹くという構図だった。
しかし今回の蓮舫氏の立候補では、そのようなイシューを提示できなかったし、もちろん有権者にも都政にも何か大きな現状のままではいけないというイシューはなかった。本来ならそこで何か「これを変えるために立候補したんだ」というキーとなる政策を提示できないといけなかったにも関わらず、蓮舫氏もその周囲も結局選挙戦に突入しても何も考えつかず、前半は小池氏の問題点を指摘し、後半は石丸氏と反小池票が割れたら意味がないと「蓮舫一択」などと訴えるばかり。
そもそも東京は基本的に新自由主義的な傾向が強く、生活苦に対しても自己防衛できている人が結果的に東京に住み続けていられるという状況もあって、自分たちが弱者であると考えてる人が比較的少ない。弱者認識のある人は立憲民主党や共産党、あるいはれいわ新選組などの支持層としてけっこうガッチリ把握できていて、今回の風を起こすべき浮動票の対象ではなかった。それなのに「7つの約束」としてまとめた政策の多くは弱者向けで、それ以外は漠然とした都政改革で有権者の肌感として生活上の課題となっていないものばかりだった。

この二つの迷走としか見えない戦略は、立憲民主党の国政選挙の際も見られるものに近い。
どういう政策を誰にどうやって訴えれば効果があるのかがあまり把握できてないので、有権者の側から積極的に選択してくれるような問題がない場合には、支持を集めることができず、結果として現状に不満のある弱者層をなんとか糾合するしかないという選挙になりがちなのが、その特徴だ。
急遽立候補した石丸伸二氏がそれほど目新しい政策もないのに、過去のYouTubeのまとめなどをTikTokなどでどんどん流して「旧態依然とした高齢議員を論破するスッキリした新しい政治家」的な雰囲気を目に触れるようにして、結果として2位に入るだけの票を集めたのと違って、自分たちで人を集めるような雰囲気づくりをすることが苦手なのだろう。

風を起こすことが苦手で、風の要因もないのに、風を起こして勝つという戦術で選挙に打って出て負けたという、ある意味当然の帰結が今回の蓮舫陣営の選挙だったと言えると思う。


Author: talo

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