ニセ旅券作りなどを請け負っていたユダヤ人が、ナチスのユダヤ人狩りに拘束される。強制収容所ないに作られた贋札工房には、彼と同じように技能を持ったユダヤ人たちが集められていた。彼らには精巧な贋札作りと引き換えに、良い待遇が保証されるが、それはユダヤ人迫害の継続を助けていることでもあった。
戦後生き残った人たちのうち、この工房で社会主義的活動をしていた人の手記をもとに、映画が製作されているため、この人だけなんだかクールでかっこいい人に描かれている。しかし、主役は卓越した偽造技術を持つ別の男。
強制収容所内の特別な環境で、塀一つ隔てて同じユダヤ人が虐殺されていく中、自分たちはその遂行に手を貸しているという微妙な位置づけと、特別な環境にあってもドイツ兵の捕囚であることに変わりはないという環境が、工房内のユダヤ人それぞれの個性に反映して、様々な反応を引き起こすところは、うまく描けていたと思う。
しかし、主人公が他に抜きん出て卓越しすぎているのと、ドイツ人の描き方も結局は「卑怯者」という画一になってしまっていて、全体としてリアリティに踏み込めないでいるので、話としての重みや、テーマの良さが活きていない。
5.0点