ドバイ旅行記-4日目(2月5日)

 結局、気分の悪いまま朝を迎えた。
 とりあえず、今日はなるべく食べないようにしようと思うことで、一日が始まる。食べることと寝ること以外、特に予定がない旅行で、こんなことを思わなければいけないとは、ずいぶん悲しい。

 朝のビュッフェは、昨日と同じロビー1階のArboretumへ行った。
 しかし、何しろ今日は食べない日なので、フルーツとパンのみ。肉類などはとんでもない。しかしここは、クロワッサンがおいしいので、クロワッサンは2つ食べてしまった。あとは、マッシュルーム。なぜか、朝食に野菜の類があまりないので、ビタミンはフルーツでとるしかない。トマトの焼いたのとか、レタスを刻んだのとかはあるんだけど、あっさりしたサラダみたいなものが少なくて。

 この日は、夕方から昨日申込んだデザート・サファリへ行く予定だったので、気持ち悪くなったらいけないと思い、そもそも昼は食べない予定。もともと体調が悪く、昼ごはんどころではないのだが、まあ気は心と言うかなんと言うか。
 夜が遅くなる予定だし、昨夜は気分も悪かったので、昼はやはり本を読んだりゲームをしたりして過ごして、そのあと部屋で昼寝をする。

 デザート・サファリの出発は3時過ぎ。この時間になると、幸いずいぶん気分の悪さも少なくなっていたのだが、そもそも体力を消耗しているので、なんだかやる気がない。写真は相方に任せて、自分はボーっとついていくことに徹した。
サファリ用の車 ドライバーの人(通称イラニー)が来て、ピックアップしようとしたのだが、もう一組が見つからない。昨日の申込みカウンターの人もいっしょになって探すが、見つからない。と思ったら、なんと車のそばで待っていたらしい。イラニーは、カウンターの人に「ロビーで待ってるように、念を押しておいてよ」などと言ってた。探していた一組は、ドイツ人らしき老夫婦。
 その後、ケンピンスキーホテルで、もう一組こんどはフランス人の若いカップルを乗せ、出発。みんなそもそも、郊外へ出るのが初めてなので、あんなものが、こんなものがとキョロキョロしているのだが、イラニーは沈黙が嫌いなタイプらしく、あれこれ話しかけてくる。ドイツ人夫婦のご主人は、助手席に座っていたせいもあって、少し会話していたが、自分たちは「ふーん」とか「そう」とか言う以外に即興にあれこれ返事ができるほどの英会話力もなく、またフランス人カップルは、男のほうは英語がわからないようで、あげくに二人で早々に寝てしまった。
 しばらくすると、本当に道以外何もなくなったので、イラニーもあれこれ言うのもあきらめ、音楽をかけていた。

 郊外でも、ドバイはあちこちに建設中のものがあったりして、けっこう面白いのだが、そういうものがないところは、(日本だと、山や森など、何かしらあるものだろ思うが)本当に何もなく、荒涼としている。しかし、砂漠というほどでもないなぁと思っていると、だんだん本当の砂漠になってきて、わくわくしてきた。
 デザート・サファリの行われる場所は、専用の公園のようなところ。公園と言っても、広大な砂漠を、たぶん適当に、柵で囲ってあるところだが。
 公園に入ったら、まず駐車場で、タイヤの空気をちょっと抜く。接地面を広くして、滑りにくくするためだろう。その後、アップダウンを繰り返しながら、砂漠を走っていく。季節によっては、このアップダウンがかなり激しくて楽しいようだが、2月はドバイのベストシーズンということで、この日もアラビアン・アドベンチャーの車だけで20台以上あるような環境で、それが数珠繋ぎで進んでいくので、あまりスピードも出せず、それほど激しくはなかった。事前に酔い止めは飲んでいたが、そうでなくとも無事に乗っていられたかもしれない。

ラクダ まず、途中でラクダを飼っているところを見る。
 ラクダはえさを食べているところだったが、触られたりしても平気で、わりとボーっとした動物だった。エサを食べたせいか、ふんをするラクダが何頭かいたのだが、ふんをしているときはじっとしているので、みんなでそのすきに写真を撮ったりしていた。ラクダを飼っている人が、ここで商売で妙なネックレスみたいなものを売っていた。そんなもの2、3本見せられても、誰も買わないと思うのだけど。

 次に、しばらく行ってから、夕陽を見るといって止まる。
 ここは少し高くなっているところで、確かに夕陽を見るのに適していたが、さえぎるものもないので風は冷たかった。本当に砂しかないところで、夕陽を見ていると、確かにこんなところで生きていると、誰かに生かされていると思えるだろうし、神を崇高に感じるのも自然な気がした。
 折りしも、夕方のお祈りの時間で、何人かのドライバーはお祈りをしていた。イラニーもイラン人なので、おそらくシーア派だと思うのだが、お祈りをしていたので、(前をさえぎってはいけないと思って)後ろから見ていた。日本で仏壇に向かって一心に拝んでいる人など見ても、何とも思わないが、砂漠で額づいているドライバーの人たちは、彼らにしてみれば単なる習慣かもしれないが、見ているものの心を打つものがあったように思う。

夕食キャンプ そのあと、どんどん暗くなってくるので、夜の宴会場のようなところへ向かう。
 ここは、葦のようなもので囲ってあるので、風がなく、寒くない。風のあるなしで、こんなに違うのかと思う。お手洗いは、水洗のものがある。
 ラクダに乗ったり、ヘナペイントをしてもらったりできる。ラクダは自分は乗らなかったが(1頭に二人ずつ乗っていて気の毒だったので)、相方は乗ってうれしそうにしていた。写真を撮ってくれて、大判プリントにして売っているのだが、これが何千円もして、ずいぶん高かった。しかし、こういうものにありがちな「毎日やってるから、適当にやって、早く終わらせよう」という雰囲気ではなく、みんなきちんと仕事をしている様子がうかがえたので、買ってあげたほうがよかろうとも思った。
 食事はビュッフェ形式で、いろいろと出る。まず前菜のようなものが出て、しばらくすると肉やシチューなどが出る。実際には、料理ができたら放送されるので、みんなでゾロゾロもらいに行くという、配給のようなものだ。
 自分は何しろ節食中の身なので、前菜しか食べなかったが、食べ物飲み物ともたっぷりあったので、もしツアー代金が高いと思うのなら、ここで元を取ることはできる。

 食事の途中から、ベリーダンスが始まる。
 といっても、本当のベリーダンスではなく、ベリーダンスっぽい衣装を着た人が、音楽に合わせて適当に踊るだけだ。途中から、刀をわき腹に挟んだり、頭に乗せたりして、曲芸のようになってきていた。
 最後は、観客の人を呼び集めていっしょに躍らせるという、ありがちな展開だが、子どもでやたら踊る気満々の子がいて、いっしょうけんめい踊っていて面白かった。
 そのあと、お香をたいて、踊りは終わり。

 最後に、照明を消して、星空を見る。星がずいぶんたくさん見えて、きれいだったが、寒かったので早く帰りたくなってしまった。
 と思ったら、もうおしまいで、みんなぞろぞろと車に移動。帰りはアップダウンのあまりないルートで、公園出口まで行くので、気持ち悪くなったりはしない。
 公園の出口のところで、空気を入れるのだが、これがけっこう待つ。空気を入れたら、あとは送ってもらってさようなら。11時ごろだった。

 結果的には、体調が悪いのを押して砂漠に行ったのは、気が紛れて正解だった。いかにもアラブ地域に来たという感じも味わえたし。
 すぐに寝ても、翌日の朝食には普通に間に合いそうだったが、一度ルームサービスを頼んでみたかったので、翌朝の朝食を頼むタグに記入して、ドアのところにぶら下げて寝た。


Author: talo

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