娘の教育のため海外への移住を考えていた女性。夫との意見の相違から、実家へ帰ってしまったことが、次々と状況を難しくしていく。
とにかくキャラクターの作り込みと描き方が素晴らしい。
ストーリー自体は淡々と進んでいくのだが、この過程で各キャラクターの特徴的な部分が描かれ、さらにそれがストーリーを展開させ、結末へと至る。
それぞれのキャラクターは、少し自己中心的なものの、人間なら誰にでもある部分をそれぞれ持っている。それが、その場その場で、悪意なく自分のための行動をとっていくことが、どんどんことを面倒にしていく過程は、行動として必ずしも正しくなくても、じゅうぶん首肯できる。
そういう積み重ねから、さらにキャラクターの内面が描かれ、話が進むという、この絡み合った構成力の素晴らしさは、ちょっと他に類似の映画見つけることが難しいくらい。
イラン映画ということで、イスラム教社会であることも、少なからず影響を与えているのだが、決してそれが特殊な環境だからこその話ではなく、逆にどんな社会でも同じようなことが起こり得るし、起こっているだろうことを想像させる舞台になっている。
特にメインの家族における、夫婦の性格の不一致からくる離婚に至るすれ違いは、実際いくらでもいるカップル像であり、短い時間でよくここまでこんな明白にすれ違いを描けたものだと思う。