フィギュアスケートを見る

最近、日本人選手の活躍もあって、日本でもフィギュアスケートの人気が高まってきて、うれしい。人気が高くなると、放送枠も大きくなるので、以前ならダイジェストしか見れなかったような競技会も、けっこうマイナーな選手まで見られたりして、恩恵が大きいのだ。

しかし、人気が高まると、当然にわかファンも現れれば、野球やサッカーなどと同様、特にファンではない人も見て、いろいろ論評するようになる。
大きな競技会で、日本人選手の評価が高くなかったときなど、ネット上では評価がおかしいという書き込みがあっちこっちで見られ、またそれに同調する人が多いので、評論家気どりで間違ったことをどんどんお互いに増幅しあっていて、読んでいてイライラする。

この前の世界選手権でも、男子シングルの高橋選手がほぼ完璧な演技で2位。カナダのパトリック・チャン選手はジャンプを2つほど失敗したが1位となった。
当然ネットでは、ありえない結果、ひいきされてるなどのコメントがあふれ、Yahoo!のコメントには「そう思う」ボタンが大量に押されていた。
しかし、実際には、チャン選手の失敗は、きちんと得点にも反映されていたし、それ以外のところで点を取っているので、基本的にできたものを加点していく、フリーの採点方式では、問題なく正しい評価となっていた。

そもそも、チャン選手と高橋選手のスケーティング技術に大きな差があるのは、少し詳しい人なら一目瞭然だと思うのだが、ほとんどの人はそんなことも見れていない。
たとえば、チャン選手が昨シーズンからプログラムに組み込んだ、片足を前に上げて、後ろに滑っていくスケーティング。単に滑って行く途中に足を上げているのではなく、足を前に上げると、当然体は後ろに傾き、重心はかかとにかかることになる。しかし、後ろに滑るにはつまさきで滑らなければなない。したがって、後ろにかかる重心をつま先で支えながら、バランスを取って滑るという、非常に難しいことをしているわけで、実際今年のフリーではここでバランスを崩していた。
それ以外にも、チャン選手のプログラムには、ステップシークエンスではないところで、数多くのステップが入っていて、技と技の間のスケーティングの密度が高橋選手より大幅に高い。

テレビの解説をうのみにしている人にしたら、高橋選手のステップが世界最高レベルと連呼されているので、そうだろうと思っているのかもしれないが、少なくともここ3年くらいで、高橋選手のステップがチャン選手のステップへの評価を上回ったことはないし、それ以外の選手よりも劣っていることもしょっちゅうある。
確かに、5年以上前に、まだ今ほどステップへの評価点が高くなかった時期に、高橋選手がステップで最高得点を出したことがあったことは事実だ。しかし、それがずっと同じ状況であるわけもない。

そういう、基本的な部分での点差を逆転するには、ジャンプなどの大技を成功させるしかないのだが、今回の世界選手権では、その差がまだ逆転できるほどではなかったということに尽きる。
べつに、高橋選手だって、チャン選手並みのスケーティングスキルを身につけることは、不可能ではないのだから、そういうそもそもできてないことを「できてる」と抗弁して勝つ必要はない。今回の結果で高橋選手が勝つように採点システムが変更になったとしても、次回はそれが高橋選手に不利に働くかもしれない。
高橋選手が優勝した時に、その評価が正当であると言い切るためにも、今回の評価もまた尊重しなければいけないことくらい、どうして理解できないのか不思議だ。


Author: talo

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