国会も会期末となり、テロ等準備罪も可決されたので、これでもういいやとばかりに、文科省、内閣府が相次いで加計学園関連の文書およびそれに関係する圧力等について調査を行い、結果を発表した。
ただ、今回の問題について、政権は「法的な瑕疵はない」という趣旨のことを繰り返しているが、それで問題にならないという考えなら、それは大きな間違いであり、国民の問題意識の所在を把握できていないと言うしかない。
国民からしてみると、大臣や議員を含む政府関係者というのは、一般人では到底手にできない、極秘の情報や大きな権益を手にしている存在だ。だからこそ、高度の倫理的行動を求めていて、法的云々の問題ではない。これが問題の本質である。
今回の加計学園問題であれば、そもそも特区によって新事業を始められる企業が首相の親密先の企業しかないなら、そういう特区を設置するべきではなく、また複数の企業が参入可能だったとしても、首相の親密先であれば、問題になる可能性があるからと辞退させるのが、望ましい在り方ということになる。
首相の親密先云々は法的な問題ではないし基準もはっきりしないというのが、おそらく政権側の認識だろうが、そんなことは国民からしてみれば何の意味もない言い訳になる。法的に問題でないというのは、政府が恣意的に問題にならないように法を作成し運用しているのだろうと、疑えば疑えるからだ。この認識のズレは、なぜか政治家からは理解しにくいらしい。
まして今回の加計学園に関しては、萩生田官房副長官が過去に報酬を受け取っていたということから、たまたま親密先であったというだけでなく、政権関係者が実際にそこから利益を得ていたという事実が厳然として存在している。確実な利益誘導がなければ収賄にならないというのは、あくまで政治家が自分たちが簡単に訴追されないように法をそのように作っただけで、国民から見れば過去に報酬をくれていたことに対する見返りにしか見えない行為で、訴追されなくても収賄を行った政治家と解釈される。
そういう国民感情を、法的に問題がないからと言って無視すればそれでいいという考えが、もし本当に正しいと思っているとすれば、現政権は明らかに目が曇っているとしか思えない。
第一次安倍政権のときも、最終的に政権投げ出しにつながったことに対しては、いろいろ原因はあったが、何が決定打というわけではなかった。国民の中で、なんとなく安倍政権は信用できないということが積もり積もって、支持率が維持できなくなり、そこへ病気のこともあって投げ出さざるを得なくなった。
今回も、事件としては逃げ切り可能かもしれない。
しかし、景気回復が最優先課題と言いながら、その課題が今もって達成できている状況ではなく、このところに至っては足踏みか逆戻りという状況にあって、事前の掛け声通りの政策は何も実行できず、喫緊の課題でもない憲法改正に手を出そうとしている政権に対して、国民はなんとなくの疑念の目を向けている。
枯れ野に火を放てば一気に広がる。いま政権を誕生させた国民の支持は、徐々に枯れてきている状態であることを、政権内部ではどこまで実感として理解できているだろうか。