安倍内閣が存続の危機に瀕している。
つい半年前までは、長期政権にもかかわらず未曽有の高支持率を維持していて、3月には安倍首相の自民党総裁の任期を延ばすためにわざわざ総裁任期を2期までから3期までに、党則を変更したばかりだった。
その頃からすでに、森友・加計問題は言われていたので、まさかこんなことになるとはという感じだ。
安倍首相とその周辺は、まだまだ乗り切り可能な範囲と見ているが、自民党議員の大勢はすでにポスト安倍に傾いているのが趨勢だろうと思われる。
現状で、不意に内閣総辞職となった場合、暫定首相となるとおそらく麻生氏が就任することになると思う。
しかし、本格的に総裁選となった場合、および暫定後の総裁選では、このままいくと岸田氏が選出される可能性がかなり高いように思われる。
岸田氏は自派のほか、先ごろ旧三木派である山東派を吸収して党内二位派閥となった麻生派も同じ旧大平派ということで、支持する可能性が高い。また第二次安倍政権を支えた経緯から安倍首相の出身派閥である党内一位の旧福田派(細田派)も支持に回る可能性がある。
石破氏は一般の支持はあるものの、党内基盤はなく、難しい。
結果として岸田総裁となった場合、今は小選挙区制で総裁の党内指導力が非常に強くなっているため、岸田派および麻生派の旧大平派の覇権が長く続く可能性がある。
というのも、旧田中派の一部が自民党を集団離党し新生党を結党したとき以降、それまでキングメーカーであった旧田中派の影響力は漸減し、それまで必ず数の力で上回っていた旧福田派に及ばなくなっていった。
その結果、旧福田派は森総裁以降、小泉、安倍、福田康夫と派内の総裁候補を次々と総裁とすることに成功し、旧福田派の天下を実現していた。第一次安倍内閣および福田康夫内閣が投げ出しで終わったため、その次の総裁では近い関係にあった麻生氏を選出はしたが、その覇権は衰えず、野党時代の谷垣総裁の次を選ぶ総裁選では、党員票で上回った石破氏を議員票で逆転して安倍氏の再任を果たしている。
しかし、いよいよその安倍総裁が降板し、上に見たように岸田新総裁となった場合には、岸田派と麻生派は合流して党内第一派閥となり、細田派は総裁派閥を降りたことで先細りとなる可能性さえある。
今回のような大きな政治的スキャンダルがない限り、総裁派閥の優位はなかなか逆転が難しく、そこから先は旧大平派(岸田派+麻生派)がキングメーカー派閥となっていくのかもしれない。
そうなると、田中派が大平派と連携して福田派を圧倒した角福戦争後の田中派の覇権期から、徐々に旧福田派に移った自民党の主権が、今後は旧大平派に移るということで、1970年代から実に半世紀近く続いた角福戦争を軸とする自民党内の権力闘争は、新たな時代に移る可能性があるということになる。
もはや角福の直系議員すらほとんどいない状況になって、やっとここまで来たかという感もあるが、逆に言うとこれまでの経験の通じない時代が自民党にもやってくるということで、ここから先の保守政治がどう変わっていくのかの変革期に、遅ればせながら自民党も入ったのかもしれない。