政治の権威

この前まで読んでいた本で、政権の安定性は、結局はその権威でどれだけ集金できるかによるという趣旨のことが書かれていて、なるほどと思った。

日本史で考えてみても、壬申の乱は朝廷の権威はある程度認められていたもののまだ豪族の集合体のようなもので天皇の権威で集金しているわけではなかったので、近江朝廷側が必ずしも有利ではなかったということになる。
また、荘園整理の本格的な開始とともに摂関政治が衰微し、知行国制のような売官制度の整備で院政が盤石になったことも、鶏か卵かということはあるものの、関係性としては大きい。
鎌倉幕府倒幕も、このシステムに依存してては集金できないと思う人が増えたからだし、南北朝の争乱も、結局は集金のための権威に南朝を担ぐか足利家を担ぐかという路線対立だろう。

そう考えると、アメリカは終戦後に日本の集金の権威は国民そのものですよという体制にしたかったものの、急にその転換で安定させられる自信がなかったので、天皇を残したとも考えられる。

いま天皇の代替わりで、あれこれ儀式が続いてるが、そんなことに税金を使ってもったいないという人はそんなに多くなく、みんないっしょになってキャーキャー喜んでる様子を見ても、今でも日本は集金システムの権威の一部に、天皇制を活用してるということになるかもしれない。


Author: talo

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