南北戦争とその後の混乱期を利用して、各地で強盗を働き、当時すでに伝説となっていたジェシー・ジェームズの、暗殺をめぐる話を描いた物語。
アメリカではけっこう「義賊」的な位置づけで有名らしいのだが、実際は全く義賊なんかではなかったらしく、この映画でもジェシー・ジェームズの持つ不可解なまでの冷酷さが、そのキャラクターの中核として描かれている。
そして、もう一人の主役、暗殺者のボブ・フォードは、ジェシー・ジェームズの崇拝者として登場し、その距離のとり方に揺らぎはあるが、身近な仲間として存在し続けている。
時代がまだ南北戦争後ということで、アメリカは開拓時代にあったが、その荒涼とした雰囲気を強調した風景描写が印象的。実際には、春も夏もあり、明るい景色が広がっていても良さそうなところが、季節は冬を中心とし、また主人公たちが逃げ回っていたせいもあって、舞台は町よりも荒野が圧倒的に多い。
ジェシー・ジェームズの冷酷さを描きながら、彼を悪人とするものではなく、またボブ・フォードも単なる賞金目当ての軽薄な犯罪者とするものでもない。二人の微妙な距離を軸に話を進めながら、ボブ・フォードの一種独特の個性を、徐々に浮き彫りにしていく展開は、ストーリーとしてはけっして詰まっているわけではないのだが、観ている者に理解が浸透する、独特の間を持って、進められていく、映画としては非常に秀逸な作り。
最後の部分の詰めが、多少甘いようには思ったが、人物描写、映像、演技、設定など、どれを取ってもそのレベルの高さは、疑いようがないだろう。
5.6点