ミスト

 嵐のあった翌日、山から霧が降りてくる。しかし、その霧の中には、何かがいて、霧に囲まれたスーパーマーケットの中で、人々は疑心暗鬼になりながら、助けを待つ。

 スティーンブン・キング原作の中編の映画化。
 映画にすれば面白そうだけど、映画化が難しいと言われるスティーブン・キングの作品だが、この作品は原作がそれほど長くないせいもあってか、映画化に成功している作品だろう。

 ドキュメンタリータッチというわけではないのだが、ほぼ舞台がスーパーマーケットの中だけで話が進む、いわゆる一幕物に近い構成なので、時間的な切れ目が少なく、ほとんどずっと何物かに襲われるかもしれないという、緊張感を維持して進んでいく。
 この緊張感のレベルが非常に高く、見終わったあとはグッタリという感じだが、いざ言葉で表そうとすると、その緊張感の源が何かは、説明が難しい。ただやはり、ドキュメンタリーに等しい、身体感のある映像作りができているせいだろう。
 何も起こらない場面は、作中に2~3箇所しかなく、誰かが死ぬか傷つくかする場面が非常に多い。さらに、それが単なるスプラッタ的な作りになっていないところに、緊張感のもう一つの原因があるかもしれない。

 劇中の緊張感がピークに達するのは、敵が内外に存在する状況になったとき。これも、さもあろうかという状況で発生するので、非常に強い衝撃がある。

 部分部分では「どうしてそんなことをするんだ」と思わせられるような場面もあるが、全体的には非常によくできた映画だっただろうと思う。ホラーとして秀作だったかどうかと言うと、そうではないように思うし、映画として秀作だったかどうかと言うと、そうでもないように思う。
 ただ、あれだけのパワーを観客に感じさせ続けられる映画が、ほかにそうそうあるとは思えない。
 そういう意味で、作り手側の能力は、恐ろしいほど証明できていると思う。

 ところで、ずっと違う話を原作だと思っていたので、最後まで「おかしいなぁ?」と思って見ていた。

5.7点


Author: talo

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